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STORY

「LAZARUS」を見て考えた、“余白”ということ


最近、渡辺信一郎監督の新作アニメ『LAZARUS』を観た。

『カウボーイビバップ』や『サムライチャンプルー』で知られる彼の作品には、いつもどこか“間”がある。空気の流れや、無駄とも思える沈黙が、物語の余韻として残る。でも今回の『LAZARUS』は、それとはまるで違う感触だった。


目まぐるしく動くアクション、完璧に作り込まれた3DCG、息を呑むスピード感。情報量も演出もすごすぎて、まばたきする暇もない。

でも不思議と、どこか「空っぽな感覚」が残った。

ポジティブな意味で全体がスタイリッシュに構成されすぎていて、だからこそ“どこにも自分の居場所がない”ような感じがした。映像の完璧さが、人間らしさを遠ざけているような。

それは、ファッションでも似た感覚を持つことがある。



素材や縫製、構造を徹底的に突き詰めていくほど、「完璧な正解」に近づいていく。

でもその先には、“誰のためでもない服”ができあがってしまう気がして、ふと立ち止まる。


遊びのなさは、居心地の悪さにつながるように思ってて、

もちろん、いろんな服があって、完璧であることに重きを置いた素晴らしいブランドは世の中多い。

毎度見るたびに息を呑むような素晴らしい服達、、、


だけどMIDTHINGSではいつも、「余白」や「未完成の美しさ」みたいなものを考えている。

手刺繍の文字、いびつなビーズ、わざとムラのある縫い方。子どもが描いたような刺繍もそうだ。

それは「雑さ」ではなく、“誰かが手を加える余地”を残すということ。または誰かの手に渡った記憶のような錯覚を思い出させるもの。



LAZARUSを見て、あらためて思ったことは、

完璧であることと、人の感情に触れることは、必ずしも同じではない。

むしろ、すこし崩れていたり、意味が明確じゃなかったりするものの方が、見る人の中でゆっくり育つ気がする。



MIDTHINGSの服も、着た人の時間や記憶で、少しずつ輪郭が変わっていくようなものになっていたらいい。

だから今日も、どこかに“あいまいな余白”を仕込みながら服を作っています。。。


最近はLAZARUSの音楽が完璧すぎたのでSpotifyでよく聴いています。




こんにちは。


日々の忙しさにかまけ、更新が気づいたら5ヶ月も前でした。。。。


今回は、MIDTHINGSのものづくりについて少しお話ししたいと思います。


前回のブログでは、ブランド名の由来や、“中間”や“少年性”といったキーワードについて触れましたが、今回はそれを実際に服のデザインや素材選びにどう落とし込んでいるかという話です。



25AWのコレクションを制作するとき、最初にあったのは、誰かの「記憶」と「曖昧さ」をめぐるムードでした。

それはたとえば、幼少期に使っていた布団や服の柄だったり、光に透けるカーテンの揺れだったり、明確に覚えているわけじゃないけれど、ふとした瞬間に蘇るような感覚です。

そこから導き出されたのが、にじむような輪郭、手の痕跡が感じられる質感、素材の対比といった要素でした。



たとえば、コレクションの中で特に象徴的だったのが、オリジナルのジャカード生地です。

クラシックな植物柄をあえて繊細すぎない粗めの組織で織り、少し素朴さを残しました。ブルゾンやバッグなどに使用したこの生地は、遠目にはパターンが滲んで見え、まさに“記憶の残像”のような印象を持たせています。


他にも、一度人の手に渡ったようなイメージの服、クラフト感のある手刺繍など一枚の服の中に、複数の時間や手触りが共存するような構成を意識しました。


 


服って本来、もっと自由であっていい。


MIDTHINGSでは、ひとつの正解を示すのではなく、「こう着なきゃいけない」というルールから解放される服を作りたいと考えています。

作り手としての意思はしっかりありつつも、それを着る人の手に渡ったとき、全く違う表情を見せてくれる――そんな“余白”を残した服づくりが理想です。


きっと、服は完成した時点では終わりじゃなくて、そこからまた誰かの記憶や日常に混ざって、新しい輪郭を持ちはじめる。

MIDTHINGSは、そんな服をこれからも作っていきたいと思っています。



25AWのデリバリーは7月頃より開始いたします。


1stシーズンですが、いくつかの卸先様に取り扱っていただけますのでまた時期を見てインスタなどでご紹介させていただければと思います。



ではまた、次回の更新で。


Updated: Jan 22

初めまして。MIDTHINGSのデザイナーです。


このブログでは、ブランドの紹介や日々気になったこと、ものづくりに関する話題を肩肘張らずに綴っていきます。MIDTHINGSの世界観を身近に感じていただけたら嬉しいです。



第一回目は、ブランド名「MIDTHINGS」の由来について。


MID=中間、THINGS=物事。「MIDTHINGS」は、直訳すると「中間の物事」という意味になります。

ブランドのコンセプトの一つに「少年性」というキーワードがあります。子供でも大人でもない、曖昧で自由な時代――そこに光り輝いていたものに、私は大きな影響を受けてきました。


実は「Bright Young Things」という映画が、この名前の着想の原点です。この映画は1920年代のイギリスを舞台に、若い世代の自由な生き方を描いたものですが、僕はその思想にとても共感しました。

ある日、ブランド名に悩んでいたとき、偶然本でこのタイトルを目にして「これだ!」と直感したんです。そこから、MIDDLE THINGS、そしてMIDTHINGSという名前が生まれました。



ブランドの提案したいスタイルについて。


僕はファッションを「ひとつのブランドで固める」ものではなく、「さまざまな要素をMIXして楽しむ」ものだと思っています。

MIDTHINGSでは、コーディネート全体としての提案も行いますが、どれかひとつのアイテムだけでも、「かっこいい」「かわいい」と熱狂的に思ってもらえたら嬉しいです。

そして、みなさんのコーディネートの中に取り入れてもらい、こちらが想像もしなかった新しいスタイルを発見していただけたら――それが私の大きな願いです。

だからこそ、MIDTHINGSのアイテムはひとつひとつが「自分の範疇を超えてくれる服」でありたいと常に考えています。


もちろんブランドなので、ある程度の偏りや個性はあります。それでも、過不足のないバランスを大切にし、誰かの「新しい発見」につながる服を作りたいと思っています。



MIDTHINGSの哲学。


余談ですが、仏教の世界に「中庸之道(ちゅうようのみち)」という言葉があります。これは、偏りすぎず、調和の取れた生き方を示す言葉ですが、MIDTHINGSの理念にも通じる素晴らしい考え方だと感じています。


これからも、「少年性」と「中庸」の間で生まれる新しい価値観を提案していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。



ではまた。

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