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STORY


26SSのデリバリーが一通り終わった。

このシーズンは、最初から明確なテーマや結論があったわけではない。

むしろ、はっきりさせないまま進めることを前提にしていた。


MIDTHINGSにとっては、2シーズン目のコレクションになる。


新しく何かを加えるというより、

これまで自然に集まってきたものを見直し、

何を残していくのかを選び取るような感覚があった。


ブランドにとって重要なものは、

外から持ち込まれるものではなく、

すでに内側に含まれているものだと思っている。


MIDTHINGSにとっても、

ブランドの輪郭を整えていく過程で、

それは自然と自分自身に近づいていく感覚があった。


何かを演出するというより、

この半年の中で自分が感じていたことや、興味を持っていたことを、

そのまま出していく。


それらをあらためて再考し、拾い上げていく。


陰翳礼讃や、星の王子さま、

そしてClaude Monetのように、

見えないものや、輪郭を持たないまま存在している感覚。


この半年の中で自分が惹かれていたものを辿ると、

結果としてそれらはどれも、MIDTHINGSの持っている感覚と近い位置にあった。


そういったものも含めて、

ブランドの中に自然と残ってきたものを、あらためて扱っている。


制作の中で拾っていたのは、

言葉にしきれないまま残っている感覚や、

説明しようとすると消えてしまうような曖昧な輪郭だった。


たとえば、糸の選び方。

異なる色や風合いの糸を混ぜることで、

結果として滲んだように見える表情が生まれる。


それは染料による効果ではなく、

構造としてそう見えているだけの状態。


どこまでが意図で、どこからが偶然なのか、

境界がはっきりしないまま残っている。


縫製においても同じで、

揃えようと思えば揃えられるものを、あえて揃えきらない。

不揃いな縫い目や、少しずれた切り替えを、

“誤差”として処理せず、そのまま残す。


通常であれば修正される要素を、

どこまで排除せずに成立させられるか。


その判断を繰り返していた。


リネンのセットアップでは、

プリントでありながら織りのように見えることで、

表面と構造の境界が曖昧になる。


カンタ刺繍の古布も、

素材として使うのではなく、一度写真として捉え、

それを別の布に転写している。


物質としての布ではなく、

時間や痕跡だけを抽出して、もう一度布に戻す。


オリジナルと複製の間にある、曖昧な状態をそのまま扱っている。


こうした要素は、どれも強い主張を持つディテールではない。

むしろ、意識して見ようとしなければ通り過ぎてしまうような、弱い情報に近い。


ただ、その“弱さ”の中にしか残らない感覚がある。


はっきりとした意味や役割を与えた瞬間に、

失われてしまうもの。


26SSでは、それを強く見せるのではなく、

消えない程度に残すことを優先している。


結果として出来上がった服は、

完成されていないわけではないが、

意味が固定されていない状態に近い。


店頭に並び、誰かが触れ、選ばれることで、

はじめて具体的な意味や文脈が与えられていく。


そのプロセスを前提として、

最初から余白を残しておく。


これは、

何かを強く提示するためのものではなく、


まだ名前のついていない感覚が、

消えずに残る状態をどうやって服にできるか、


その検証だった。


各社様にてお取り扱いいただいた分は、ありがたいことに在庫が少なくなっている店舗様も多くあります。


現時点で全ての品番をまとめてご覧いただける場は限られていますが、

一部はオフィシャルオンラインストアでも引き続きご覧いただけます。


また、コレクション全体を通して見ていただける機会についても、今後あらためて検討していきたいと考えています。




ご無沙汰しております。

26AWの展示会などでバタバタして先週ようやく3回目の展示会が終了しました。


直近になりますが、3月7日と8日の2日間、大阪のsignさんで MIDTHINGS 26AWの受注会を行います。


ブランドをやっていると、服はほとんどの時間を東京で過ごします。

展示会が終わった後はたいていはアトリエのラックにかかったままです。その後工場さんに行ったり来たりしますが。


だから今回、服をまとめて大阪に持っていくことにしました。

きっかけは、大阪のセレクトショップ signさん です。

1stシーズンからお取引いただいて今回別注のスウェットを作ろうと言ってくれました。

ブランドを始めてまだそれほど時間が経っていない中で、別注を提案してもらえたことは個人的にはかなり大きな出来事でした。


MIDTHINGSの服をとても丁寧に紹介してくれていて

ただ商品として並べるというより、この服がどうやって生まれたのか、どんな空気の中で作られたのかまでちゃんと伝えてくれている感じがあります。


それ以上に印象的だったのは、単純に服がすごく好きな人たちだなということでした。

やり取りをしている中でも、その感じがなんとなく伝わってきます。


だから一度、その街に服を持っていこうと思いました。


それと同時に、大阪という街の空気も少し気になっていました。

東京とはまた少し違うバランスで服が並んでいる気がします。


整いすぎたものより、どこかラフだったり、少しバランスが崩れていたり。

東京よりも、少し自由な感じで服が存在しているような気がしました。


MIDTHINGSの服も、どちらかというとそういう場所にある気がしています。

もしかしたら、この街と相性がいいのかもしれない。

それを一度、確かめてみたいと思いました。


今回の受注会では26AWコレクションの全サンプルをご覧いただけます。

今季のタイトルは


DIRECTED BY NOBODY

The pure sense before being seen


生活の中で起きてしまったことや、まだ誰にも見られていない衝動から少しずつ形になった服たちです。

製品加工による歪みや縮み。素材同士のズレ。縫い目のパッカリング。

意図して作った部分と偶然起きた部分が混ざったまま、そのまま服として残っています。

それはデザインというより、生活の痕跡に近いものかもしれません。


そして今回、signさんとの別注としてスウェットも作りました。

型はTHE THIRD SWEATSHIRT

26SSではネイビーのみで作っていたモデルですが、今回の別注では生地の色とプリントの配色を変えています。

普段自分では選ばない色だったりもしてあ、でもsignさんらしいなと仮定仮定で上がってくるサンプルを見て思ってました。自分の服が他の思考が加わることは、新鮮な経験でした。


大阪で、この服たちがどう見えるのか。

それを確かめるような2日間になる気がしています。


もし近くに来ることがあれば、気軽に覗いてもらえたら嬉しいです。


サンプルをスーツケースに詰めながら、と思いましたが、秋冬で物量が多かったのでひと足先に服だけ旅立ってもらって、少しだけ大阪に行ってきます。

MIDTHINGS 26AW ORDER EVENT3.7 (Fri) – 3.8 (Sat)Osaka @sign





みなさんこんばんは。

今日は少し、関係ない話というか、常々思ってるメンズファッションについて書こうと思い夜な夜な更新します。


メンズファッションは、形のリファレンスがとても強い分野だと思います。


ミリタリー、ワーク、トラッド。どれも歴史があり、文脈があり、「なぜこの形なのか」を説明しやすい。正しさを共有できるという点で、とても成熟した世界だと感じます。


僕自身の原点も、古着でした。特に70年代の EAST WEST のレザージャケットは、本当にのめり込み、見つけては買い集めていた記憶があります。(高すぎましたが、、、、)今でも写真集で見る当時のレザーは格段に美しいなとたまに見返します。


ベルボトムを履いていた時期もありましたし、当時は、形や年代、空気感そのものに強く惹かれていました。

そしてその中で、たくさんの学びもありました。今でも、驚くような仕様の古着に出会うと、思わず心が高揚することがあります。


縫いの順番や、理由の分からない切り替え、一見すると非効率に見える構造。そうした細部に触れるたび、服は必ずしも合理性だけで作られてきたわけではない、ということを実感します。


特に70年代のレザーは色々な影響もあって、、、(ここではあまり言わないようにします)なんだろう、少し異常とも言える華美のデザインがあったな、、、と思ってます。


古着に惹かれていた自分が強く反応していたのは、説明できない装飾や、過剰とも言える手間、意味があるのか分からない選択だったのかもしれません。

だから僕の好きな古着は、いわゆるヴィンテージというより、出自の分からない古着です。

何万、何十万円もするヴィンテージはそれはすごいな、、、と思うんですが、大抵その傍手に取るものは1万円もしないよくわからないものだったりもします。

調べてもはっきりしないことや、知ろうとしても分からない部分が残っているものの方が、不思議と目が離せなくなる。


理由は、きっと、分からないままでいられるからだと思います。


「無駄こそ贅沢」という言葉もありますが、装飾の機能的な意味をどうしても考えすぎてしまうと、どこかで思考が萎縮してしまう感覚があります。


気づけば、服を機能としてどう成立しているか、という視点だけで見てしまい、ファッションそのものが窮屈なものになってしまう。


MIDTHINGSを始めるとき、そこから一歩距離を取りたい、という感覚がありました。


形や機能をゴールにしてしまうと、服の中に残るはずの余白や違和感まで、整理されてしまう気がしたからです。

MIDTHINGSでは、服の形よりも先に、状態や感覚のようなものを見ています。

はっきりと言葉にできない違和感や、きれいに整理しきれない感触。それがどんな形になるかは、作りながら決まっていくことがほとんどです。


途中で寄り道をすることも多くあります。本来なら揃えるはずのものを、あえて揃えないままにしたり。完成させる一歩手前で、そのまま残す選択をしたり。

効率の良いやり方ではないと思いますし、メンズ服として分かりやすいとも言えないかもしれません。

それでも、その寄り道の中にしか残らないものがある。

MIDTHINGSは、そう信じながら服を作っています。


形を参照しない、というよりも、形や機能をゴールにしない。


それが、自分のやり方なのだと思います。

服は、正しく説明できること以上に、理由の分からない引っかかりの方が長く残る場合もあります。

MIDTHINGSは、その引っかかりを無理に意味づけしないまま、そのまま着られる服でありたいと思っています。





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